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(おや?)
見ると全身鏡の前にスマートフォンが落ちている
(店長のかしら?)
「店長!てんちょ~!」
店長はめんどくさそうに首を振り帳簿に書いて置いといてとだけ答えた
支持どおりに拾得物処理をして持ち場に戻った時鏡を見て自分の姿に唖然とした
なんとメイクが半端なままだったのである。
にっくきルカの面々がニヤニヤしているように思える
いや笑っているに違いない
化粧を十分に直す時間が欲しかった。
接客業なら当然そうすべきなのだが、なんだか自分があの時トイレにいたのをルカの面々に教えるような気がしてならなかった
最悪の最悪の1日になった
美鈴が帰ると部屋は荒れ放題そして幸せの黄色い鏡はやはりひび割れていた。
彼女はこの部屋で傷つきながら一人ぽつんと待っていた黄色い鏡の前にへなへなとへたりこんだ。
涙が少し出た
黄色い鏡を両手で抱え、鏡の中の自分を見つめながら幼い頃を思い出した
「鏡よ鏡よ鏡さん
世界でいっちばんカワイイのはだれ?」
「はいそれはみーちゃんです♪」
「はいそれはみーちゃんです」
「はい・・それはみーちゃん・・」
たまらず美鈴は堰を切ったように泣き出してしまった。
「ごめん!ごめんね!アタシかわいくなんかないよね!痛かったよね!ごめん・・ごめんなさい・・」
美鈴は黄色い鏡をぎゅっ と抱きしめたまま泣き続けた
食事も、お風呂も、コンタクトレンズも、テレビも毎日のお手入れもヨガもみんなすべてお構い無しに泣き続けた
そしてぐずぐずしながら鏡の中の自分を見た
かわいくない自分
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