PROLOGUE

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  この魔物はA~Eのランクでいうと、Dくらいのものだろう。 つまり下から2番目。 つまり俺たちでも倒せるだろうレベル。 「んじゃ行きますか、ミッちん」 「だからなんだその呼び方」 ハンマーを素振りする紘稀に若干脱力しながらも、俺は扇子を構えた。 ちなみに、紘稀は強化系の魔術を使う。 武器のハンマーには術式が組み込まれていて、魔力を流すと文字が浮かび上がる。 俺は風の属性。 まぁ何故か風以外にもつかえる属性があるが。 それは内緒。 『ギャギャギャ!!』 紘稀の武器に魔力が流れたと同時に、コオロギの魔物……名前は……なんだっけか。 まぁ、コオロギでいいや。 コオロギは俺たちに向かって跳び跳ねた。 「うわっ、跳んだ!!」 「……うわ、コオロギの腹見ちゃった」 俺はげんなりしながら、扇子を上に翳す。 つか、そんなに跳んだら弱点であろう部分が丸見えだろ。 バカだろ、こいつ。 「第一幕・烈風波-レップウハ-」 言葉と同時に扇子を横に薙ぐと、コオロギに向かって鎌のような風がいくつも飛んでいく。 コオロギは避けようとするが、何本も迫ってくる風の刃を避けきれず、横っ腹にかすって落ちてきた。 『ギルルルルァ……』 「いんや~、あったまわるいねこのラバグ」 あ、そうそう、このコオロギそんな名前だったわ。 ハンマーを振りかぶりながらの紘稀の言葉に、コオロギの正式名称を思い出した。  
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