PROLOGUE

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  “精霊の森”は、学校から歩いて30分のところにある。 だから最低1時間でカミコ草を採って学校に戻らなければならない。 まあ、カミコ草は森に入ればそこらへんによく咲いてるから、そんな時間かからないと思うけど。 「カッミコ草~、カミコ草~♪」 紘稀はなんだかよくわからない歌を歌いながら……これ、歌なのか? 「元気だなぁ、お前は」 苦笑い混じりにそう言うと、紘稀はニッと笑ってピースサインをした。 「ま~ね~。校外実習大好きだもん、俺」 「あぁ、それは同感」 椅子にずっと座ってる授業なんかより、全然退屈じゃない。 むしろ楽しい。 「お、“精霊の森”が見えてきたよミツ!!」 紘稀が指差す先を見ると、木々が鬱蒼と生い茂っている“精霊の森”。 一見不気味そうに見えるが、魔物も少なく、静かな場所だ。 「よし、行くか」 「カッミコッ草~♪」 さっきより雲が多くなり、なにやら雲行きが怪しい。 雨が降らなきゃいいけど……。 俺は小さくため息をついて、森の中に入っていった。  
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