PROLOGUE

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  森の中は薄暗く、あまり遠くの方が見えなかった。 天気がいいと、木々の隙間から太陽の光がはいってて、すごく綺麗なんだけどな。 「うひゃー、今日は一段と薄暗いな~」 「はぐれるなよ、紘稀」 キョロキョロ辺りを見回している紘稀に釘をさしてから、そこらへんを歩く。 紘稀は、はいはーい、とか言いながら俺のあとに続いた。 ――…2人でカミコ草を探すこと10分。 カミコ草を探しながら森を歩くうちに、だんだん違和感を覚える。 「……ねぇ、みっつん。なんか今日、変じゃない?」 紘稀も同じなのか、首を傾げながらそんなことを言ってくる。 うん、確かにいつもそこらへんに咲いてるようなカミコ草がない。 っつか、なんか草枯れてね? 「うーん……、草がねぇな」 「あ、そうだそれだ!!木は無事なのにね~」 紘稀は俺のぼやきに手をポン、と叩いて木を撫でる。 うん、なんか嫌な予感がするんだけど。 “精霊の森”は他の森に比べたら、比較的安全な森なんだけどな。 「紘稀、武器チェックしとけよ」 「うーん、そうだね」 もしかしたら、戦闘になるかもしれないな。
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