<序> どうにもならないこと

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 わたしが優柔不断な性格を自覚し始めたのは、中学生の時だったと思う。  あの頃、わたしにはミサコという親友がいた。  いつでもビシバシ!って感じの彼女が何でも決めてくれてて、わたしはとても過ごしやすかったのを覚えてる。  好き嫌いがハッキリしてて、自分の思ってることを迷いなくズバッと言えるミサコに、わたしは心底憧れてた。  短大を卒業し、いわゆる大会社に就職したわたしは、出会って以来初めてミサコと離れた。  ミサコは語学が苦手だというのに、海外に事務所を持つデザイン会社に就職して、今はどの国にいるのかわからないくらいあちこち飛び回ってるらしい。  なんだかんだで7年間も一緒に過ごしてきたミサコがいなくなって、改めて突きつけられた現実。  それが…… 「わたしって、本当に何にも決められないんだ」 ……だった。
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