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「今日も命いっぱい、励んでください。
それと、高梨君は保健教師の安斎(アンドウ)君、君が一通りこの学校のことを教えてくれませんか?」
「はい、わかりました」
校長の呼び出しに、前へやって来たのは、165の俺の胸元に届かないほどの小さく、黒髪のポニーテイル、開いているかわからない細目。
小柄なのにそこだけ発達した胸、白いレギンスに青のロングスカート。
見た目からして、おっとりとした女性だった。
「よろしくね、たかなしくん。わたしのなまえは、安藤 ひなっていうの。
わたしはほけんと、じょしのたいいくをまかなっているの」
少しゆっくり目で、なんか、全部平仮名で聞こえる。
「よろしくお願いします、安藤先生」
「ああ、いいのよ?そんなにかたくるしくならなくて。
みんなからは、はなちゃんって、よばれているから。
もちろん、せいとだけじゃなくて、せんせたちからもよばれているし、こうちょうせんせいからもよばれているから」
ごほんっ。と、校長が咳払いした。
「安斎先生、それは今言うことではありませんよ」
「ああ、ごめんなさい。まぁ、おいおい、そうよんでね」
「はぁ、わかりました」
何か、この先生、のほほーんとしていて 、ほんわかーな人だから、ちゃっと調子が狂う。
「さでは、そろそろホールルームが始まりますから、これで終わりとします。
高梨くん、ついでだから、安斎君の」
「ひ、な、ちゃ、ん!」
下から、子供のような言い方で校長にそう安斎先生が言った。
校長は冷や汗を流して、おとなしく頷く。
おい、トップに頷かせれる力持ってんのかよ、ひなちゃん!
「えー、ひなちゃんの副担任として、2ー1を受けおっていただきます」
僕には、まだその時はわからなかったのだ。
なぜ、校長が安斎先生におとなしく従ったのか。
なぜ、教師全員がひなちゃんと呼ぶのかを。
まだ、戦いは始まらない。
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