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空は怖いくらい快晴だった。まるで自分の存在価値を見出だす為に、互いに打ち消し合う人類を嘲笑うかのように。
ある事に気付いてから、恐怖が己を包み込んだ。僕は自分を恐れている。誰もが求める救いなど一切に持たず、ただ純粋に無欲であるかのような貪欲さによって人を殺す自分が。
だが、それを否定した時に、僕は消えてなくなるだろう。ここにはそう感じている人間しかいないのだから。
「死にたくない、死にたくない、死にたくない」
僕は祈るような思いで呪文のように唱え続けた。死なないためには、殺さなくてはならない。
手には未だに温もりが残り、それが余計に寂しさに拍車をかける。
一緒に帰ろう。
聞き慣れた声色が頭に轟いた。その言葉だけが崩れそうな僕を支えてくれている。今の僕には、信じることしか出来ないから。
「二人で帰ったら、どこかへ遊びに行こう。きっと楽しいだろうな」
誰に言うわけでもなく、呟いた。言葉は風に吹かれて小さく細切れになっていく。全てが終わったら、あいつと心の底から笑えるだろうな。
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