一章

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「僕を逮捕してください」 「は?」 いきなり何を言ってるんだろう、この男は。 昼過ぎの、お昼休みはウキウキウォッチングなこの時間帯。今日も普段通りに暇な一日になるはずだった。ついさっきまでは。 特に何の予定も事件もなく、いつもの定置である自分の机に座って外を眺めていたら、いきなり現れた一人の青年。 透き通った緑色のビー玉みたいな目。この辺じゃ見かけない顔だ、迷子か何かだろうな。泣いてばかりいる子猫ちゃんってわけじゃ、なさそうだけど。 そう思考を巡らせていたところで、青年は予想外の台詞を吐いた。いきなり逮捕してくれなんて。 「僕を逮捕してくださいよ。あなた保安官ですよね?」 俺の反応が気に食わなかったのか、反抗的な目を胸ポケットにある玩具の様な保安官のバッチに向けてきた。まぁ、そんな丸い目で睨まれても怖くはないけれど。
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