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初対面の際に、怒らせて半日も長々と説教を喰らったというのに、事あるごとにユウに対して気を掛けてくれている。同僚である、SSSランク最年長兄弟が言うには、ユウはお気に入りだそうだ。勿論、ユウにはそんな自覚は無い。そもそも、初対面からどうしてそんなに気に留めてくれるのかという理由にも、思い当たりが無いのだ。
この物件を勧めてくれた理由というのが、街中で少年が一人住んでいると、何かと悪目立ちする上に、近所から詮索されることになって、本人も住みずらくなるだろう。
外から見ても、こんな山の中に誰かが住んでいるとは思わないだろうし。何しろ、清浄な空気は身体を癒してくれる。もう一つ敷地があると自由に使えて良いだろう。とのことだ。
その説明を聞いた上で、成程なと納得しての購入だ。場所が場所なだけに、相場よりもお得な値段で契約を結ぶことになった。表向きはナペレの名前であるが、きちんと払うべきものは払っているし、業者に依頼して定期的に山の整備も行っている。
だが、結局、これが正解なのかどうか・・・・・・一年過ぎたあたりからそう思うようになり、家に帰るのも億劫になり始め、三年が経った今では、何も考えないようにしている。
幸運なことに、育て親であるノガードが居てくれているお陰で、家の清潔状態は守られている。合い鍵を渡しておいて良かったと、ユウはつくづく実感している。
休日の時に、ナペレがふと寄る時もあり、高級料理店の弁当を差し入れしてくれたりと、何かと好意をくれている。人間関係の点では、かなり恵まれている。最初は上司という前置きを置いて接していたユウも、ナペレに対して、仕事以上の関係性を抱き始めていた。
とは言っても、やっぱり、一人なのは変わらない。
キッチンと、リビングと、洗面台と、お風呂と、トイレと二階の自室。それを往復するだけの生活である。
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