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夕食を食べ終わった後、皿を洗い、乾燥機にぶち込んで、次に洗濯機を回しながら、お風呂で温めのシャワーを全身に浴びて、硝煙の匂いと血の汚れを洗い落とす。
出た後は、リビングのテレビの電源を入れて、ニュースやらエンターテインメントやらと、つまらなそうにぼんやりと眺めながら、ドリップで淹れた珈琲を飲む。
洗濯が終了した合図を聞くと、夜中でも構わず、ベランダに干して乾かす。
はみがきをして、リビングのソファーに横になりながら、テレビをじいっと眺めた。
そうしていると、自分でも気づかずに寝てしまって、覚醒した時には、もう朝陽が昇っている真っ最中の時間になっていた。
電気もつけっぱなしで、やってしまったと、内心で呟いて、洗面台で顔を洗う。
後は、自由に過ごしている。ジャージに着替えて、隣山まで走ったり、木に的を貼り付けて、シューティングの訓練を受けたり、木々の間を駆け抜けたりと。主に訓練が中心だ。
お昼ご飯は夜の分と一気に作るようにして、多めに作り、余ったら冷蔵庫に保存だ。料理は単なるお手伝いに過ぎなかったが、いつの間にか趣味へと昇華されていた。
気付けば、もう夕方だ。お昼の後に、ソファーの上でうたた寝していたユウは、むくっと起き上がって、ベランダから差し込む夕日の光を、覚醒したばかりで働かない頭に浴びせた。そういえば、服が干しっぱなしだった。
一日中意味もなくつけっぱなしのテレビを背景に、夕食を食べ、風呂に入り、寝る前には、指の筋を鍛える特訓として、ピアノを弾いている。夜更けを過ぎたあたりに、眠りに落ちる。
これはまだ、基本的な一日だ。大抵は、一日中寝ていたり、食事を一食以上抜いたり、ぼんやりするだけの日もある。潔癖の気があるので、風呂と洗濯は必ずするようにしているけども、他はあまり重要視していない。
仕事も不定期的で、忙しいときは忙しいし、そうじゃない時は本当に暇だ。入ったら入ったらで、最低一日以上は戻って来れない。怪我をした時なんかは、最悪だ。
まだ十歳にしては過酷過ぎる日々を、ユウは送っていた。
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