とある名家の兄弟達

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 一気に身体が冷えた。冷静になった頭で、胸元を見ると、心臓から少しずれた位置を貫く白刃が見えた。  刃が一気に引き抜かれると、全身の力が無くなって、膝から崩れた。冷たい地面の上に転がって、視界がずれる。  心臓の音が耳に直接鳴る。指先から感覚が消えて、大切なものが外へと流れる感覚が襲い掛かって来た。  転がった視界に、狂気に笑う、弟の顔が見えた。 「やった!!やった!!これで、ゼロ・オールドセイルは、僕のものだ!!」  ヴィンセントの声が聞こえる。異様に昂ぶった笑い声を上げる声が・・・でも、それもどんどん遠くなって・・・。  ヴィンス・・・・・・ヴィンス・・・・・・お前は・・・・・・おぼえて、るか・・・・・・?  小さい、ころ、の・・・・・・・・・やく・・・・・・・・・そ・・・・・・・・・く・・・・・・・・・・・・。  ヴィンセントの声を最後に、私の意識は、死んでしまった。
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