小さな雛鳥と迷い猫

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 特にユウは、その中でも最有力集団と言われる、『七帝神』の一人として数えられている。表向きではただのSランクとして通っているが、裏では最も高い傭兵として、認められているのだ。  さておき。『評議会』に入るに当たり、必要となるのは、本物のカードの方であり、それを壁に取り付けられたカードリーダーへと、差し込んだ。  すると、鉄の扉が一人勝手に動いて、内側から外へと、鈍い音を立てながら開き始めた。  そこは、真白い壁と床の、世界最大の裁判所のような場所だった。顔を上げても遠いと感じてしまう程に高い位置にあるのは、五つの席。  下に四つ並んでいて、その上に一つ席が付けられているのが、『評議会』のトップが座る場所である。  のであるが、その人物は定位置ではなく・・・・・・地上のど真ん中に立っていた。 「ごきげんよう、『銀眼』」  紡がれたのは、歌を謳っているような美しい響きがある男の声だ。  金糸混じりの神官服の上に絹の衣を纏い、その右手には木で作った杖を握っている。  頭にかぶり物を被ったその下には、この世のものとは思えない、美しい顔があった。  真白い白磁の肌。小さい顔。鼻梁の通った小さい鼻筋。大きな穴が開いた耳。紅を塗ったような真っ赤な唇。柳眉の眉に、その下にはふさふさと豊富な黒い睫毛があり、大きな漆黒の瞳。極めつけは右目の下にぽつんと強調された泣き黒子だ。  もし本当の女性であったのなら、ユウの師以上に美しい人だと感じるだろうが、しかしユウはその人物が自分と同性であることを知っているので、却ってその服の下の身体が見てみたいという興味しかない。  だが、全てのSランクの上司たる、この人物・・・・・・評議会長ナペレ・カラムーン相手に、堂々と言える筈も無い。 「先日はご苦労様でした。ゆっくり身体は休めましたか?」 「別に・・・それより、依頼っていうのは何だ?」  上司相手にも、ユウは他の大人達と同等の態度を一貫している。それは、彼の中にある、大人に対する意識や偏見によるものだ。  気位が高い者なら、明らか様に露骨な態度を示すか、大人を敬えなんていう常套句を発するかのどっちかだが、ナペレは可愛い子猫を見るような表情で、にこにこと笑んでいた。 「そうですね・・・それよりも、ちょっと来なさい」
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