小さな雛鳥と迷い猫

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 今の話と、その写真を照合して、頭の中で話をまとめたユウは・・・・・・不穏な予感を、感じざるを得なかった。 「護衛、ねえ・・・俺の噂を聞いてる癖して、この俺に護衛とか・・・あんたも気が知れねえな」 「おや?護衛は初めてでは無かろう?そなた程の兵(つわもの)である筈ならば、著名人の護衛を全うしていたと、考えなかった訳でも無い」  喋っても無いのに、的を射てくるニリクに、ユウは言葉を詰まらせた。  確かに、今までだって、財閥の大富豪だの大物政治家だのと、護衛してきたことは数多くある。  だけど、その後のやっかみやいちゃもんが、酷いのなんの。  依頼してきたのはそっちの癖して、とユウは何度も憤慨したし、一度枕元に立って銃を突きつけてやったこともある。その後に、ナペレの叱責を喰らった。  その経験から言うと・・・・・・・・・・・・護衛は、性に合わない。 「そもそもな。あんた・・・護衛を頼みたいって本気で思ってんのかよ?」 「ほう・・・その心は?」  片膝を立てて座り、涼しやかな風情を醸し出すニリクを、ユウは剣呑な眼光を宿らせながら、睨んだ。 「今の説明だと、何も納得がいかねえんだよ。暗殺だのとなんだのと言うけどな、情報を隠されてちゃあ、何のこっちゃも解らねえ。本当に依頼したいんだったら、隠してるもんを全部吐きやがれってんだ」  少年の域を脱していない声で、ユウは鋭く突いた。  子供らしからぬ、殺気に近い気を向けられて、通常であるならばそれに委縮するか、竦み上がるかのどちらかであるのだが。  ニリクは低く、笑った。 「何笑ってんだ?」 「いやはや・・・最年少のSSSランクの慧眼に、感嘆しておったのさ」  ふふっと、小さく笑うニリクに、ユウは不穏さが取り消されずに、睨み続けた。  口を開きかけたニリクであったが・・・・・・唐突に、目を僅かに細めた。 「・・・どうやら、のんびりとしていられる余裕は無いらしい」 「は?」 「しかと捕まっておけ」  突然の言葉に、ユウは一体どういう意味なのか、理解が追い付かなかった。  その直後。がたん!と、車内が大きく揺れた。 「のわ!」  がくんと大きく揺らされて、耐え切れずに、ユウは床に手をついた。  何事かと、ばさりと小窓の簾を巻き上げて、身体ごと外へと乗り出した。
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