小さな雛鳥と迷い猫

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 最初は不安たっぷりだった大人達も、順調に起動を開始した様子に、不安の色を拭い取った。 「やはり・・・この検体は凄い」 「ああ。たった一人で、この装置の機能を最大に引き出している・・・天賦の才だ」  盛大な音を立てて動く巨大な装置の前で、大人達は、この機械に繋がれた子供へと感嘆の声を上げた。  悲鳴はまだ続いている。起動が完全に完了するまで、その痛みは続けられる。  極限に見開いたその目から、苦痛の涙が零れるのだが・・・・・・それを見るものは、誰一人として、いない。 ───────────たすけて。
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