小さな雛鳥と迷い猫

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******  細波の音を立てる、清廉された川のほとりに、季節外れの蛍が飛んでいる。  空に浮かぶ満月と、光を灯す蛍の組み合わせは、この世離れした美しさを感じさせる。  まだこんな場所が残っていたのかと、ニリクはほとりに立ちながら、感慨に耽っていると。  音もなく、気配も感じさせずに、姿を現した影へと、振り向いた。 「ジン・・・」  二大国家部隊の一つの隊服に、多くの勲章を胸と肩に飾った格好で、治安維持部隊総隊長、ジン・ブリーズは、深刻な表情で現れた。 「・・・報告を」  鋭い目つきで促すニリク。  何かを秘めたその眼差しに、ジン・ブリーズは、静かに答えた。
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