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ばりーん!
まるで、ガラスのように、全身に皹が入り、音を立てて砕け散った。
連弾も止んで、嵐が過ぎ去った静けさに満たされながら、ユウは静かに気配を手繰った。
抉られた跡が残る地面には、もう結晶など一つも残っていない。まるで、悪い夢でも視ていたような錯覚が起こされるようで、気味が悪い。
────やったか・・・。
そう判断して、ユウは装飾銃を降ろした。
「・・・倒したのか?」
それまでずっと、茂みに隠れていたリュウが、ひょっこりと頭を出してきた。
それには答えずに、右のホルスターに得物をしまおうとする。
が。背筋に走った悪寒に、ユウは直前で目を見開いて、またもや空を見上げた。
するとまた。何もない空間から、結晶の連弾が再開された。
「のわっ!!」
「わあああああああああああああっ!!」
咄嗟に二人は同時に頭を守りながら、地面に伏した。
二人の周りの地面を穿つ結晶の嵐の中で、二人は体勢を低くすることで、自分の身を守った。
「やったんじゃねえのかよ!?」
頭を両手で抑えるリュウから、非難の声が上がる。
舌打ちを打ったユウは、激しい地鳴りの最中に、すくっと立ち上がって、上空へと大きく息を吸った。
「おいこら!!どこの誰だか解らねえが!!用があるなら、正々堂々姿を現しやがれ───────っ!!」
大きな声を張り上げるも、それは轟音によって、掻き消された。
かに思われたが、空中に、突如としてまたあの結晶の大鳥が、顕現した。
一睨みしたユウは、体内で『氣気』を爆発させた。
銀色の奔流で、無理矢理軌跡を逸らすと、リュウを置いて地面を蹴り上げた。
近くの木の幹に両足をついて、渾身の力で蹴り上げて、斜面に飛んでまた蹴り上げる。
それを続けて、助力を着けて、空へと舞い上がった。
鳥はどうやら予想もしていなかったらしく、虚を突いた隙をついて、空を飛び上がりながら、その翼を鷲掴みにした。
途端に、ばさばさと、激しく抵抗する鳥を、ユウは身体を絡めて拘束すると、銃口を首元に突き付けて、引き金を引いた。
「【ブラスト】っ!!」
至近距離からによる衝撃波によって、身体全体が飲み込まれて、消失した。
連弾も止んで、亀のように丸くなっていたリュウは、そろそろと顔を上げた。
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