小さな雛鳥と迷い猫

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******  木の幹の影に逃げ込んだユウとリュウは、揃って荒い呼吸を何度も繰り返していた。 「くっそ・・・何にも正体が掴めねえ。こりゃあ、危険だな」  装飾銃を構えながら、外を警戒するユウへと、リュウはぐわっと口を開いた。 「そもそもお前が馬鹿にしたのがいけないんだろ!!」 「ああ!?」  リュウの言葉に反応したユウに対して、畏怖を一切合切脱ぎ捨てたリュウは、続けて抗議の声を上げた。 「俺を見捨てようとしただろ!!じいちゃんの言いつけ無視して、俺を殺すつもりだったんだろ!!」 「てめえ、俺はお前を守ってやっている立場にあるんだぞ!!何だその言いぐさは!!」 「お前のせいだっつうの!!謝れよバカ!!」 「んだとゴラア!?てめえ、誰に向かって馬鹿つった!?」  ぐるるる!!  互いに目線を合わせて、眼光だけで火花を散らし合い始めた。  その最中、リュウのリュックサックから、機械音が漏れた。 「あ、兄貴だ!!」  直ぐ様中断させると、リュウはリュックサックを肩から外して、チャックを下げると、ごちゃごちゃとする中身を手で掻き分け始めた。  ずっと音を発し続ける、黒い機械を取り出すと、青に点滅するボタンを、ぽちっと押した。 「兄貴!」 ≪・・・リュウ!≫  どうやらそれは通信機らしく、機械から聴こえた声に、ユウはぷいっと視線を真反対の方向に背けた。 ≪リュウ、無事?怪我は無い?≫  機械越しの兄からの、心からの安否の声に、リュウはぐずっと涙目になってしまったが、腕の肌でごしごしと、乱暴に拭った。 「俺は無事・・・」 ≪良かった・・・そこに、死神くんはいる?≫ 「うん・・・」 ≪代わってくれる?≫  機械を通しての兄の声に、リュウは頷いた後、黒い機械をユウへと手渡した。  それを奪うように取ると、それに向かって、ユウは文句を言うような口調で、直ちに問い詰めた。 「てめえは今まで何やってたんだ?てめえの家族が危ういって時に、それでも部隊の総隊長か?」  地を這うような声で抗議の言葉を投げつけた後、機械の向こうで、唇を噛み締める気配がした。 ≪・・・ごめん・・・だけど、襲撃者の正体が解ったんだ≫ 「っ!本当か?」 ≪ああ・・・≫ 「結局何だったんだ、あれは?敵の気配も感じられない。どこにいるかも解らねえ。一体どっから撃ってきやがんだ」
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