小さな雛鳥と迷い猫

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 流れるように言葉を並べた後に、機械から、衝撃的な事実が伝えられた。 ≪・・・そうだろうね。それは、そのように造られたものだから≫ 「“造られた”・・・っ!?」  その言葉に、ユウは反応した。  ジンは、機械を通して、ようやく手に入れた極秘情報の根幹を話し始めた。 ≪それは要人暗殺の為に研究開発を続けられた、暗殺専門の殺人兵器なんだ。正式名称は、超遠隔型魔法石狙撃砲台・・・・・・通称、『ファルコン』≫ 「“ファルコン(鷹)”・・・?」  その名に、ユウの頭の中で、電流が走った。 ≪設計図によると、それには遠視と透視能力が搭載されていて、距離計算ソフトで敵の位置を定めて、『魔法石』による弾丸で狙撃するってなっている。細かいシステムについては、今解析中だ。操縦者はどんなに離れていても、攻撃ができるようになっているらしい。狙撃可能範囲は、標準なら約五十万キロメートル≫ 「五十万って・・・この国ほとんど丸々じゃねえか!?」  だが、納得はいった。成程。道理でユウの索敵能力に引っ掛からない筈だ。  敵は遠く離れた場所からこちらの位置を計算して撃ってきているのだ。見えなくて同然だ。  その時、ユウははっと、息を呑んだ。 「・・・おい。お前今・・・・・・『魔法石』って・・・っ!?」  驚愕しながら問う声に、返答は無い。それが肯定になっていた。  『魔法石』。それは、百ある『能力』の中でも、異端ともされている『能力』及び、それを行使する者達の総称である。  一般的に『能力』には遺伝は無い。例えば、親が『念動力(サイコキネシス)』だとすると、産まれてくる子供が必ずとも『念動力(サイコキネシス)』を持っているとは限らない。別の『能力』であることがざらだ。  しかし、その理屈を無視して、親と同じ『能力』を持って生まれてくる場合も存在しており、血族間のみの遺伝となっている、特異な家系が存在している。その家系は四つ存在しており、大昔は『奇族』と呼ばれていたが、現在では大きな権力を有しているので、『四大貴族』を呼称されるようになっている。  『四大貴族』の内に入るのが、『魔法石』だ。『魔法石』を操る家系の名は、『ジュエルディー』。
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