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無情にも言い捨てたユウに、リュウはぶるりと震えあがって、そして目に涙を浮かべ始めた。
「・・・・・・ちくしょう・・・・・・ちくしょうちくしょうちくしょう!!何で俺ばっかりこんな目にあうんだよ!!俺が何をしたっていうんだよ────────!!」
それまで溜まっていた恐怖が一気に溢れかえり、リュウは耳を塞ぎながら、思いのたけを叫んだ。
その声につい振り返ってしまったユウは────次の瞬間。リュウの姿に、別の姿を重ね合わせた。
────こわいよう・・・。
連想して蘇ったその震えた声に、ユウは銀色の瞳を縮小させた。
それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・かつて、弱かったままの頃の、自分だった。
認めると同時に、胸から一気に熱いものが込み上がって来て、衝動に駆られて、ユウはリュウの胸倉を掴んだ。
至近距離の、鋭く輝く銀色の瞳と目がかち合って、リュウは虚を突かれていると。
激しい感情に呑まれながら、ユウは忌々しくリュウを睨んだ。
「・・・一々一々一々うるせえんだよ。耳障りな声を出してんじゃねえぞ。ぶっ殺すぞ」
いいか。世の中はな、弱い奴から死んでいくんだよ。ここで死んだのなら、お前なんてその程度だったって訳だ。
生き残りたいっていうのなら、喚いてないで、地べたの上をはいずり回ってでもしがみ付いてみやがれ。
それが嫌っていうんなら、ここで死んでみるか?ああ?
お前なんか、依頼なんてなければただの他人だからなあ。俺としたら、てめえの命なんてこれっぽっちも気にもしねえ。
お前が死んだところで・・・・・・・・・・・・俺にはどうでもいいことだ。
忌々しく吐いた後、ユウはリュウを放した。
くるりと反転させるユウへと、暗い森のど真ん中で、リュウは視線を投げた。
「・・・・・・お前は、どうするんだよ?」
「決まってらあ・・・『ファルコン』って奴を、ぶっ叩く」
かちゃっと、装飾銃を握りしめながら、ユウは宣言した。
それでも、震えて動けないリュウを、気配だけで察して、ユウはまた口を開いた。
「お前は戻れ────────────お前を想ってくれる奴らの処へ」
そう言い放つその声音は、嘘のように静かなものだった。
その意味を、リュウは理解出来なかった。
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