小さな雛鳥と迷い猫

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******  ギルと喧嘩したのは、三年も前の話だ。 「待ちなさい、ユウ様!!」 「んだよ!?」 「フローラさんに何か言われたのですか!?こんなことして!!」 「別にフローラは関係ねえよ!!うぜえ!!」 「う・・・そんな言葉どこで覚えたのですか!!ともかく、私は許しませんよ!!今すぐ辞めなさい!!」 「うるせえ!!!!何しようが俺の勝手だろう!!嘘つき!!」 「はあっ!?」 「とにかくだなあ!!こんな生活もううんざりだ!!誰かに守られるなんて、んな無様に生きられっかよ!!俺は一人で生きていく!!」 「待ちなさい、ユウ様!!」 「着いてくんな────────っ!!!!」  最後に、【ブラスト】をかまして出ていった。  それを最後に、俺はギルと手を切った。 ────それが、正解だ。我が息子。 「・・・・・・お前もうぜえ」 ─────奴は知っているぞ。お前の父を。お前の出生を。お前の身体に流れる我の血を。 「・・・知ってるよ」 ────奴は、それを知って、お前を・・・。 「しつけえ・・・」  俺の頭の中でしか聞こえない、人間じゃない声が嘲笑っていた。  ずっと。
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