小さな雛鳥と迷い猫

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「ニリク!!てめえ、どうやってうちを調べやがった!?」 「ん?ナペレに聞いたぞ。それにしてもそなた、家人も雇わずにたった一人で住んでおるとは、宝のもち腐れであるな」  ぐわっと怒号するユウを、ニリクはひらりと躱して、奥にある客室を順に開いて行った。 「ふむ。ここにするか」 「ベッドだ!」  その中で、一番広々とした部屋に入ると、すかさず嬉々としたフェイルが、部屋のど真ん中に設置した、クイーンサイズのベッドに向かって走って行って、その上で跳ね上がり始めた。  勝手に物色し出したニリクに、ユウは前に立ち回ると、声を張り上げた。 「いきなり何なんだお前!!勝手に居なくなったくせして、アポも無しに来やがって!!今度は何が目的だ!?」 「まるで私が何か悪だくみでも考えているような言い方であるな」 「そうだろ!!部外者だった俺を巻き込んだくせに!!あれから色々と大変だったんだぞ!!で!!何しに来やがったって聞いてんだ!!」  容赦なく罵声を浴びせるような物言いに、ニリクは気分が害された様子もなく。寧ろ清々しい笑みを浮かべたまま、答えた。 「いや。何・・・・・・親子で住むに相応しい場所を探しておってな。そこで、そなたの家なら邪魔されることもなく、静かに暮らせると思ってのことだ」 「・・・・・・・・・・・・は?」 「といわけで・・・・・・この家に、私達親子を置いてはくれんか?」  にこっと笑うニリク。その口から流れた発言に、ユウはくらりと、眩暈がした。 「・・・・・・・・・・・・あんた、自分が何言ってんのか、解ってんのか?」 「勿論。でなければ遥々ここまで足を運ばぬ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  間髪入れずに、笑顔満点に返してくるニリクに、ユウは絶句した。  一方で、場の空気の流れを敏感に察知した娘が、ベッドのスプリングを利用して遊ぶのを止めて、きょとんと傍観した。 「・・・・・・・・・・・・あのさ。ここがどこだか解ってんのか?」 「そなたの住居だろう?」 「・・・・・・・・・・・・俺の正体を知ってる訳だよな?」 「史上最年少の異例のSSSランク、異名を『銀眼の死神』様であろう?」  さらさらと流暢に答えるニリクに、ユウは眉間の皺を更に寄せた。 「解ってて頼んでくるんだったら、あんた、相当頭おかしいぞ。つーか家ならもうあんだろ!?そっちに帰れよ!!」
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