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「君、そっち危ないよ」
不意に声を掛けられて思わず振り向いた。
振り向いた先にいたのは濡れた様な黒髪を垂らす女だった。
彼女は驚いた様な表情を浮かべてから僕に何かを言いたそうにしていた。
いや、何か言っていたかもしれないがよく分からなかった。
耳を澄ませば、あるいは聞き取れたかもしれない。
でも僕には出来なかった。
何故ならばその時には、物凄い衝撃が僕を貫いて僕の世界は逆さに反転していたから。
そしてまた衝撃。
次いで暗転。
自分でも意識が遠のいていくのがわかった。
沈みいく意識の中、何故か彼女の声が耳に届いた。
「だから言ったのに」
それは鮮明で、酷く冷たかったのを覚えている。
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