教室の幽霊

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  このクラスには『幽霊』と呼ばれる少女がいる。 勿論、彼女はまだ生きているし、生霊の類を操れるというようなオカルトじみた存在でもない。 彼女がそう呼ばれる理由は、その異常な風貌にあった。 顔までも覆い隠すボサボサの長い髪。 その隙間からギョロリと覗く瞳は、まるで闇の中からこちらを垣間見ているような印象を与える。 それは見るものを恐怖させるに充分だった。 それゆえに、誰も彼女と関わりを持とうとはせず、彼女もまた、誰とも関わろうとしなかった。 そう、彼女はあらゆる意味で『幽霊』だったのだ。
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