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「『ブラッド』って、知ってるか?」
「知らない」
そして、君も知らない。
学校の廊下に立ち塞がる一人の男を無視して、僕は踵を返して教室に戻ろうとする。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
僕の肩をそいつが掴んだ。夏の猛暑のせいで、ただでさえ暑いというのに、こいつは暑苦しい野郎だ。
「なんだよ。」
肩に置かれた手を払い、僕は振り返る。
今は、それどころじゃないってのに………。
「いや、ちょっと部活の勧誘………でね。」
部活の勧誘?今、何月だと思っているんだ?
春は過ぎて、今は夏。
僕は顔をしかめた。
「赤羽………だよね?転校生の。」
そうだ。
いかにも。僕が赤羽 霧人(あかば きりひと)だ。
今日転校してきた僕に、早速部活とは………さぞかし力入れてる部活なんだろう。
テニスか?バスケか?坊主じゃないから野球部ではないな………いや、そうとは限らないか。
僕を部活に勧誘するとは、物好きな奴だ。
俺と一緒に卓球しないか?とか言われたりして……。
だが、そいつの次の言葉は自分にとって予想の範疇(はんちゅう)から大きく外れていた。
「俺と一緒にサバイバルしないか?」
………………は?
理解できずに、唖然とする。
今、鏡を見れば笑える程のバカな顔が、そこに写っているだろう。
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