1:『大事件が日常、それは疑えよ』

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「……ふぁ……っ、眠い!!」 所々布が破れ、ボロボロになったソファの上でこの同好会の会長は大声をいきなり出した。 「……会長、静かにしてくれよ。今、アメリカの中国に対する考察を読んでるんだから」 大地が抗議すると、紅は口をとがらせた。 「だって、暇だしさー、なんか面白いことないかなぁー」 「ゲームに飽きたのか?」 僕がそう声をかけると、不貞腐れながら頷いた。 「あーぁ、目新しいこと何かないかなぁー」 紅がそう言いながら、手を目の前に持っていき、火を空気中に点けたり消したりして遊んでいる。 「目新しいこと……、そうだ、会長、勉強でもしてみたら?」 犬とじゃれ合っていた健吾の提案を紅は拒否する。 「却下。それじゃ、まるでわたしが勉強してないみたいな言い方じゃないの」
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