第1章 白い紙

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「こうして見ると不思議だろ?描こうと思って、いざ鉛筆を握って下書きしても失敗した時は消しゴムで修正出来るし、何度も消して行く内に紙はグシャグシャになったり、破けそうになる」 「………」 「例えるなら生き様みたいなモノだよ。人生失敗しても修正は出来る。だけど、精神面や肩書きはボロボロになる。やっと絵になる頃には人生の終点に近づいている」 男は尚も独り言のように続けた。 「ここの絵は皆、素晴らしいだろ?」 手を掲げると、暗い闇だった場所がガラリと変わり、明るい大きな建物の中にいるようだった。
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