名前の理由

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優香は、 俺の唯一の理解者に なってくれた。 俺の悩みを聞いては 「大丈夫だよ!」 と笑い飛ばしてくれる。 だいぶ気持ちが 楽になったと思う。 変わろう、 と思えるようにもなった。 優香と話して触れて、 俺は他人の視点を知った。 俺はもしかしたら 差し出された優しい手を 自分で拒んできた のかもしれない。 そう考えられるように なったのは 優香のおかげだ。 そういうと、優香は笑って 否定するのだが。  まぁ、これはまだ思ってる だけで実行には移せていない。 頭で分かっていても 体が拒否するのだ。 さすがにこれは情けなくて 優香にも言えやしない。 そんなこんなで俺が頭を 悩ませていた頃。 「ねぇ、日向はさ、  “明るくて元気な子”  になって欲しいって、  親に思われてきたんだね。」 いつも通り屋上で物思いに ふけっていると、 優香が唐突につぶやいた。 俺は不意を突かれ、 つい勢いよく反論する。 「は?なんでそう 言い切れるんだよ。」 俺は、親に思われて なんていない。 幼いころの一件以来、 親は俺を、割れ物のように 扱うようになった。 友達も、いない。 優香だけが、わかってくれる。 そう思う。 しかし、優香は無視して続ける。 「だって、日向って  おひさまの光でしょ?  いつもぽかぽかで、  みんなを照らしてる。  あたしね、おひさまを  見てると笑顔になるんだ!」 優香は、笑顔で振り返る。 妙に、説得力のある笑顔だった。
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