空を飛べるかな?

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「ねぇねぇ、  人って飛べるかな?」 いつもと変わらぬ放課後、 優香が聞いてくる。 風が吹いて優香の髪を揺らした。 「飛べないだろ、普通。」 俺は常識的に答える。 質問の真意は分からないが、 理屈から言って、 人は飛べないだろう。 「そーなんだよね。 さすがのあたしでも 無理なんだよなぁ・・。 でもさ、日向の能力を使えば 飛べるんじゃないかなーとか 思ったり?」 噴いた。 と言うか焦った。 思わず手にしていた コーヒーの缶を落っことしそう になる。 俺はいつも人に能力を見られ ないようにしている。 見られたら、 また大事になるに違いないから。 でも、そんな気遣いを ぶち壊しにする提案だった。  慌てて人がいるんじゃないか と辺りを見回す。 立ち入り禁止の屋上に そうそう人が居る訳無い のだが。 「バ、バカ言え!  んなことできるわけ……」 とりあえず、 当たり前に反論した。 でも、優香の目を見ると、 反論できなくなってしまった。 どうやら俺はこの目に 弱いらしい。
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