空を飛べるかな?

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「ほら、こうやってさ……」 優香は両手を横に広げ、 八の字に回る。 さながら、昔の ゴールパフォーマンス のようだ。 まぁ、屋上だし ちょっとなら・・・・。 そう、自分に言い訳して 俺は片手を前へと 突き出した。 「え…?」 ふわりと優香の体が 浮き上がる。 あ、これ結構大変だわ・・。 落とさないように慎重に 空へと押し上げる。 少しずつ少しずつ俺が 大好きな青空へ。 「わぁ…!すごーい!  楽しい!」 優香は目をキラキラと いつも以上にきらめかせ、 俺に笑いかけた。 つられて俺も笑顔になる。 ふわりと降りてきた 優香の手を とって地面へと降ろした。 陽を背に受けた優香は 天使みたいだったなんて 言ったら優香は 照れるだろうか? 「ありがとう、楽しかった!」 俺より背の低い優香は 真っ正面から俺を見上げて そう言った。 ・・・・・初めてだった。 この能力でお礼を 言われたのは。 無邪気に笑う優香には、 敵わないと思った。
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