冬の理由

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浮気されてたり、多数の内の一人だったり、セフレだったり。 私の恋愛は一番になったことのないそんは悲惨なものばかりで。 ぶっちゃけ……疲れた。 もう年齢も29だし?  恋愛って疲れるだけで嫌な思い出ばっかだし、恋愛なんてもうしなくていいや。 そう思い出したのは今から4年程前だから、私の恋愛ゲージはゼロ。 恋愛に対するやる気も起こらない今日この頃。 身を切るような寒い風が肌から温もりを奪って乾燥を与えてきて、寒さをしのぐ為にファーコートのポケットに両手を突っ込んで。 建ち並ぶ高層ビルの向こうに在る暗い空を見上げた。 「冬なんて嫌いー!!」 うん。嫌い。 だって、私が今までしてきた恋愛に悲惨な現実を突きつけてきたのはぜーんぶ、冬だったし。 別れ話だったり、他の女といるのを見たのだって、全部季節は冬。 そのせいか、4つある季節の中で冬は一番嫌いだった。 通りの真ん中で突然止まって大声を出したもんだから、行き交う人達は私を怪訝な顔で見てる。 たく。見世物じゃないんだけどっ。 「先輩。早く行きますよ」 目の合ったカップルに唇を尖らせながら睨みつけていれば、ぐいっと、二の腕を掴まれて引っ張られた。 「急に立ち止まったら、ぶつかられますよ?」 そう言って私を見ながら歩くのは、歳が5つ下の後輩、土屋晴君。 同じ部署の、イケメンナンバー1の男だ。
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