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モデル並みの身長に、これまたモデル並みの整った顔立ち。
そこに黒フレームの眼鏡がプラスされていて、知的な雰囲気が漂ってる。
年上から年下まで幅広い年齢層の女子からモテる土屋君だが、土屋君が入社当時から私が面倒をみている。
おかげで、イケメン土屋に対しても、私の恋愛ゲージは空のまま。
さりげなーく、私を通りの外側を歩かせる優しに対しても、きゃっ! ときめいちゃう!! なんてない。
「先輩。いつもの居酒屋でいいですか?」
「あー、いいよ」
「じゃあ早く行きましょっ。寒くて堪んないです」
ぶるっと体を震わせた土屋君は、暖を求める為に、私達の行きつけになってる居酒屋にと向かう。
それと同時に、同じ目的で私のコートのポケットに突っ込まれる大きくてごつごつした手。
ポケットに入っていた私の手から体温を奪う為に握ってきて……。
て、おい!!
「なーにさりげなく手握ってきてんの」
「いいじゃないですか。寒いんだし。こうしてた方が少しは暖かいでしょ?」
「うん。暖かい。……じゃなくて!! 引っ付きすぎなの!!」
見上げる程の長身を私に刷り寄せてきた土屋君にくわりと吠えれば、土屋君は眼鏡の奥にある切れ長の目を数度瞬かせた。
そのまま首を傾げる仕草が可愛いな、なんて思ったりする。
「だって、先輩に引っ付くのはいつものことじゃないですか?」
「…………」
うん。そうだね。いつものことだね。
入社当時からずっと面倒をみてきてるせいか自然と仲良くなり、今ではすっかり飲み仲間であり
それにプラスするように、土屋君は私に良く引っ付いてくる。
まぁ、土屋君は私をお姉ちゃんみたいに思ってるみたいだし、私も弟のように思ってるから、振り払ったりはしないんだけど。
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