冬の理由

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行きつけになってる居酒屋の木戸をからりと開いて中に入れば、すっかり顔馴染みになってる店員さんに座敷にと案内される。 そして直ぐに運ばれてくる生ビールとカルアミルクと、串盛り。 おい。まだ注文してないんだけど。 まぁこれはいつも注文するメニューだから、一瞬むっとはするものの、次の瞬間には忘れちゃおう。 「はい。かんぱーい」 かちん、とグラス同士で音を奏でさせるとそのまま口に運んで、甘いカルアミルクの味を堪能。 はー……仕事後のお酒って、なんて美味しいのかな。 しかも明日は土曜日で仕事が休みだから、沢山飲めるし。 「先輩。カルアの飲みすぎは禁物ですよ? 3杯でストップです」 「嫌だー」 「いいんですか? がばがば飲んで二日酔いで死にかけるはめになるんですよ? カルアはミルクの甘さのせいで度数を誤魔化してるんですから」 眼鏡を指で押し上げながら注意をしてくる土屋君。 これじゃあどっちが先輩なんだか分からないじゃん! なんて思いなが、グラスに口をつけたまま睨み付けるけど……。 「二日酔いを介抱する身にもなってくださいね」 意地悪そうに唇の片端だけを上げる土屋君に……言い返せない!! だって、調子乗ってカルアミルクを何杯も飲んで二日酔いに陥って。 そんな酔っ払いの面倒を看てくれるのは土屋君だもん。 がんがんと煩くなり響く頭に苦しめられながら、気づけば土屋君に電話して呼びつけてるんだもんね……。 ちくしょぉー……ということは、大好きなカルアちゃんは3杯でストップか。
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