すきすきだいすき

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断る。と言った瞬間、薔薇を差し出すポーズのまま楓は膝から崩れ落ち、地面に手を着いて力いっぱいうなだれた。 「長谷部様っ!」 「長谷部様お気を確かにっ!」 そして、どこに隠れていたのかうなだれる楓の周りにわらわらと集まる小動物的な大量の生徒たち。 「うなだれる長谷部様がお可愛らしいですっ」 「園芸部のボクがご用意した薔薇の花が悪かったんです!ほら!この部分が少し土がついてる!」 「いや!演劇部の俺達が用意した風の演出が悪かったんだ!」 「ああっ!楓様のブレザーに糸屑が!」 「なんて事だ…きっとこれが原因だ…」 「長谷部様今一度作戦の練り直しですっ」 「皆さん…ありがとうございます…」 「勿体ないお言葉です!長谷部様っ」 なんだ、この茶番は。 楓に呼び出される→告白→断る→その場で反省会 ほぼ日課となったこのやり取り、楓は毎回初めての告白の様に緊張して想いを告げ、初めての失恋の様に悲しそうにうなだれる。
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