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修輔が、ゲインのつまみを目一杯回した。ついでに1弦を弾き、エレキギターに繋がったペダルを踏む。高音はライブハウスの中を澄んだ音で響く。音響や機材は大丈夫だ。ベースのチューニングも終わっている。俺はマイクを掴み、客席を見渡す。今か、今かとウズウズした表情をこちらに向けていて、ああ、俺たちは結構期待されているのか、さっきの三曲は楽しんで貰えたのかと実感する。やっぱり、激しいアップテンポの曲を望んでいるのだろう。
「皆さん、俺たちの曲はこれで最後です。本当ならハードでエモい、デスボイスごりごりの曲を入れたほうが良いかもしれない。でも、残念ながら最後を飾るこの曲は、全然そんなんじゃないっす。でも本当に大切な曲なんです。この日のライブの最後の曲は、皆さんの為に歌う訳じゃありません。それでも、聞いてください。・・・」
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