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「ピンポーン」
ビール瓶を開けた瞬間に呼び鈴が鳴る。
中凱は眉間に皺を寄せると、またグラスにビールを注ぐ。
「ピンポーン・・・ピンポンピンポンピンポン」
舌打ちをすると、重い腰をのっそり立ち上がらせ、タバコを灰皿に押し付けてドアに向かう。
「くっそ。うるっせぇ客だ。おう、こんな深夜になんだ?」
カギを開けた瞬間に若い男が一人入ってきた。
その男に中凱は、深いため息をつく。
「やっぱり、お前か」
中凱の言葉に、男、吉岡は苦笑いをした。
「その言い方はひどいな。ん?わぁ。さっすが、中凱さん。僕が来ると分かっていたんですか?
料理のいいにおいがするじゃないですか!
ほら、お酒買ってきたんですよ。
一緒に飲みましょう。
じゃ、失礼しますよ」
吉岡の持ってきたお酒に中凱は目を奪われた。
「ひぇ~。どこでこれを手に入れた。さすが、吉岡。たっけ~酒を買う」
中凱の嬉しそうな顔をみると、吉岡はテーブルに向かう。
「おい!お前、入ってもいいとは誰も言ってないぞ」
吉岡は、中凱の言葉も聞かず中に入っていくと、中凱が作っていた料理の前に座る。
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