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「よぉ、姉ちゃん。元気かぁ?えぇ?」
しゃがれた声で叫ぶように言って、男はその場に崩れた。
薄闇でも分かる男の顔は赤ら顔で、その顔色からかなり酔い潰れていることが分かる。
「なぁ、慰めてくれよぉ」
呟くように言って男は一度立とうとしたが、酔いが足に来ているのか、もう一度尻餅をついてしまった。
それに、柚は小さく笑った。
眠たそうにあけた瞳が柚を捉える。
「ああ?なんでぃ、お前、なぁに笑ってやがる」
男は聞き取れないぐらい小さく口元で言うと、這い蹲って柚の元へ向かった。
街燈の届かない場所から、ゆっくりと動く。よろめきながら確実に動いて、光の方へと向かった。
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