5人が本棚に入れています
本棚に追加
まず男の太い指が電灯の光の中へ忍び込み、その形をあらわにした。
皺が濃く浅黒い指は一本一本に毛が生えているのがよく分かった。
それが男の体重を支えているのか力強く大地を掴み取ろうとする。
続いて、もう一方の腕も見えてくる。そして二つの腕を追って男の顔が浮かび上がった。
四十を過ぎたくらいの年齢だろうか。
少し禿げた頭が赤くなっていた。
ところどころに抜け落ちている歯も、かろうじて残った部分が黒ずんでいた。
光の中で鋭い目が柚を見つめると、男は下卑た笑いを柚に見せつけた。
最初のコメントを投稿しよう!