敗北からの挑戦

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「全兵員は現地点をもって作業を放棄、可能な限り速やかに戦闘態勢に移行せよ。繰り返す。全兵員は戦闘態勢に移行せよ」 整備テントでは面々がわき目もふらず、セットアップに専念していた。 その横をすり抜け、平田隼人はコックピットにすべりこんだ。 後部座席では神代桜が火器管制システムをチェックしている。 隼人は金剛丸と連結すると、操縦系システムを稼働させた。 眼下では東花梨が拡声器を手に一番機をトレーラーまで誘導している。 続いて二番機。 「三番機、お願いします!」 東が隼人をうながした。 隼人は慎重に部材を避けながら、トレーラーにとりついた。 市街に出ると、まだ残っている札幌市民が小隊に手を振っている。 器用に敬礼をしてみせる金剛丸に、市民達は歓声を送った。 街並みは途切れ、あたりの風景はしだいに緑が濃くなった。 小隊は時速四十キロメートルの速度で国道を進んでいた。 戦時下の道路は荒れていた。 凹凸の激しい道を、慎重に進まねばならない。
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