敗北からの挑戦

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先頭を走る指揮車から行徳忠志の声が送られてきた。 「岩見沢戦区に有力な敵が出現しました。これまでの敵とは違い、中、大型の幻魔から成る強力な相手です。くれぐれも行動は慎重に、オペレーターの指示に従って動いてください」 「テスト期間は終わった、ということね」 桜がぽつりとつぶやいた。 「何のことだ?」と隼人。 「やっと本番。私たちが弱い敵を倒して経験を積んでいる間、他の部隊は相当な犠牲をはらって戦線を維持していたの」 桜の言葉に隼人は真剣な顔で聞いていた。 砲声が空にこだまする。 戦場は近い。 ところどころに黒煙が上がって、晴れ渡った空に吸い込まれてゆく。 戦場には見渡す限りの田園が広がっていた。 ところどころに小さな集落があり、雑木林が点在している。 炎上する集落、車両群、そして肉眼でもそれとわかる幻魔の群れが抵抗を続ける戦車隊に迫りつつあった。 「金剛丸、降車」 行徳が命じると、栗田和樹はうなずき、いつもの気楽な調子で各機に告げる。 「パイロットの皆さん、栗田です。今日の敵はちょっと手強いから俺が手取り足取りナビしてやるよ」
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