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「こちら三番機。無駄話をしている暇があったら、友軍を助けたら?」
桜の声が指揮車に冷ややかに響いた。
「すみやかに敵の側面をつくように、と伝えてください」
行徳は何か覚悟を決めた顔つきで言った。
「え、えっ?そんな簡単な指示でいいんですか?」
栗田があきれて尋ねる。
行徳は無表情にうなずいた。
「敵は戦車隊に気をとられている。側面をすみやかにつけ、だってさ」
栗田は投げやりに言った。
「そんなことはわかっているわ」
桜が忌々しげにつぶやいて、すばやく戦力をサーチした。
戦車三両、二人の戦車随伴歩兵が雑木林に隠れて抵抗している。
対する幻魔は十六体。
おびただしいレーザー、ミサイルが閃光を発している。
全滅は時間の問題だった。
何としても友軍を助けないと。
「接近するか?」
隼人の声と同時に、機体がゆっくりと動き出した。
「待って。他の機と連係を……」
と桜が言いかけたとたん、目の前を一番機が駆け抜けていった。
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