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「むろん、手荒なことは認めます。しかし……」
行徳は冷静に言った。
「我が隊に配備された金剛丸は極めて高い戦闘能力を有しながら、信頼性に欠け、廃棄処分が決まりかけていた機体です。
パイロットに要求されることは金剛丸の戦闘力を極限まで引き出すこと。そのためには一刻も早く熟練したパイロットになってもらわねばならないのです」
「しかし。だからといって……」
栗田が絶句すると、行徳は憂鬱そうに微笑んだ。
「実戦で教育するしかないのですよ。新人からベテランにレベルアップする過程で、パイロットは淘汰されます。淘汰の中で生き延びた者には、勇敢な者もいれば、臆病な者もいるでしょう。
しかしただ一つ共通することは、金剛丸を操り、生き残る術を確実に掴んでいることです。成功すれば強力な戦隊ができあがります。……もう、時間がないのですよ」
「そういう考え方もあるんですかね」
栗田は口を歪めて運転に注意を戻した。
整備員たちは破損した機体をあらためて見て息を呑んだ。
惨憺たる状態だった。
機体を降りた隼人、桜、西園寺、堀田の四人は貝のように口を閉ざしていた。
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