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駄馬は空を夢見た。
人に捨てられ、獣に嫌われ、土に足をとられ、水に泳げない彼にとって、空は自分を拒まない唯一の存在だった。空だけが彼の存在を認め、そして彼だけが空の存在を知っていた。
駄馬は知っていた。みんなは空を見ているのではない。空にあるものを見ているのだ。それは例えば雲であり、鳥であり、青色であり、雨であり、太陽であり、そして自分自身である。
みんな空を見ている振りをして、誰も空を見てはいないのだ。鳥を横目に見た彼のように。
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