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カイマがそんなことを思っているのを知ってか知らずか、スグルはカイマに抱きつく。
そのお陰でカイマは考えることをやめた。
「うわっ…と。スグル~、僕、あと少しで死んじゃうところだったじゃんか~」
「良かった…。やっぱりカイマ兄さんだ…。ねぇ、ならやっぱりグレル兄さんってあの人だよね?フフッ…嬉しいなぁ」
カイマは狂っている自分の弟を悲しそうに見つめた。そして、自虐的なから笑いをした。
(自分たちは狂っているのに、弟にまで狂ってほしくない…だなんて思うとか…)
「ハハッ……バカだね、僕は」
喜んでいる実の弟の頭を撫でながら、唇を噛む。
唇は、カイマの気持ちを表すかのように、紅い血が滲んでいた。
―――――――
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