入学式

3/105
前へ
/566ページ
次へ
自分の手をしっかりと握っている玲の顔は、どこか幸せそうに見える。 しかし、ずっとこのままという訳にはいかない……。 奏は、今日の入学式で、新入生代表の言葉を担当することになっている。 そのため、今日は早く学園に行き、ちょっとした打ち合わせをしなければならない。 ぐるっと部屋を見渡して、壁にかかっている時計をみる。 時刻は6:30をさしている。 学園には8時に着けば良いのだが、奏は何を隠そう超が付くほどの方向音痴なのだ。 余裕をもって7時には出たいと思っているが……。 あと30分でどうにかなるか?と疑問を抱く。 昨日は、結局お風呂に入らず寝てしまった。 今からシャワーを浴びて、15分はかかるだろう。 そこから朝食を作り、食べて、制服に着替えていたら、7時を過ぎる可能性が高い。 まぁ、その前に奏にはやることがある。 それは、幸せそうに寝ている玲を起こさないで、手を離さなければならないという、結構難しいことだ。    
/566ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加