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「行けばいいんやろ、行けば」
そう言って、俺は歩く速度を速める。本来なら、俺の方が背が高いから井本より速く歩ける。
でも臆病な俺はお前の隣を、純粋に俺を友達だと思ってくれるお前の隣を並んで歩く、勇気はなくて。
いつも、お前のうしろを行く。
不安ばかりがずっと俺の側にいる。
側にいるのがお前なら、と
夢に思っても叶わない願い。
だから、今日もお前のうしろを
不安を抱えてゆっくり歩く。
気づいて、
隣を歩かせて。
(あー、めっちゃ腹減った!)
(そう言ってもお前、半分しか食わんやんけ)
(うるさい!藤原かて1.5パック食えて得やろ)
(得も何もないわ、あほ)
(お前のために半分残してんねん)
(…あー、やっぱり敵わんわ)
_END
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