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「あれ、違った?」
小野瀬由香は、祢馬千緒の反応見て呟く。
「なんだ千緒が、めでたく高校入学と同時に、女としてもついに開花して乙女デビューかと思ったのに」
「乙女って……」
「千緒だって一応女でしょ?ついに恋でもしたかと」
「恋って……。あと一応ってなによ?私は純粋なる乙女じゃなくて女よ!」
「ごめんごめん、ね?」
頭を下げては、前髪の長さを揃えた古風なおかっぱ頭に、二つの大きな瞳を覗かせ上目遣いで許しをこう我が友人。
「うっ、その上目遣い反則技よ」
女である祢馬千緒にとっても、ぐっとくる可愛さを醸し出す。
「へへへ、でも良かったね本当に。千緒が高校受験に落ちないかすごく不安だったもん」
話題を変えると同時に、小野瀬友香は高校に向かって歩み始める。
祢馬千緒も後を歩く。
「高校受験か……。本当に大変だったな」
落ちに愛された私にとって、高校受験は宿敵みたいなものだった。
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