一章

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 ある、小さな村の一角に小さな社があった。  その社は古く、『月岡八幡荒木神社』と書かれた石碑は所々欠け、鳥井に掛けられた注連縄も長い間変えられて無いことが、分かるような古さだった。  その、本来静かであるべき空間に騒音が響いたのは、ある春のことだった。 ダダダダダッ スパアンスパアンダダダダダッ まず、階段を上り、境内を抜けて本殿の扉を勢いよく開けたと思ったら、また勢いよく閉め、再度境内を通って社の裏へ  そして、本来神社に在るはずのない畑についた時、騒音の主は叫んだ。 「天理、てめぇぇぇぇぇ!!」
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