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タッ
少女は音もたてず、走った。
そして、目の前の相手に近づき
刃物を煌めかせた
辺りに鮮血が舞う
少女は薄暗い
月明かりの中で
赤いそれを流す相手を見下ろした
「―――帆野華」
不意に名前を呼ばれ少女は
声がした方に振り返った
「どうかしましたか?」
少女は声をかけてきた青年に訪ねた
「いや...もう仕事は終わったようだね」
青年は一瞬何かを言おうとしたが
結局何も言わなかった
「はい...今終わったところです」
少女は淡々と言った
青年は少女があまり
表情を表さない事を知っていたため
あまり気にしなかった
「それじゃ僕たちは戻ろうか」
青年はそう言って歩き出した
「はい」
少女も青年の後を追って
その場を後にした
その時
少女は先程の
自分が殺した相手をチラっと見て
悲しげな顔をした
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