231人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
「夏陽…。今幾つ?」
「17…。」
「学校…いつ辞めた?」
「中3…。」
「来年の高検、狙えるな…。やる気ある?」
いきなり前向き発言、ぶつけられて頷けるほど図太くない。怪訝に見上げると、ニカッといたずらっ子みたいに笑われた。
「後ろばっか見てるから、尻餅着くんだよ。前見てみろよ。世界は変わるから。」
「前は…眩しすぎる…。」
「お前は、ソンビか吸血鬼なのか?夏陽なんて、スッゲェ情熱的な名前貰っといて、闇を好むなよ。」
「だって…。知らない人や知らない場所は、怖いんだもん。」
「夏陽、俺は知らない人じゃないのか?」
「あ…。」
したり顔で、言われて顔が紅くなるのが解った。
「何百面相してんだよ。ウケる。」
「若者で遊ぶ方が、どうかしてる。」
「世間一般では、俺も若者なの。」
私の髪をグシャグシャと撫でると、真面目な顔で言った。
「傷つくかもしれないけど…。教えてやる。夏陽、まだ女じゃないよ。」
「女だよ?」
「生物学的な事じゃないよ。夏陽はまだ女の子なんだ。汚れたって思ってんだろうけど…。」
「どろどろに汚れてるよ…あたし。」
「気持ちがな。でも体は案外治ってるもんなんだ。簡単には、女にならない。」
最初のコメントを投稿しよう!