冬の海

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「夏陽…。今幾つ?」 「17…。」 「学校…いつ辞めた?」 「中3…。」 「来年の高検、狙えるな…。やる気ある?」 いきなり前向き発言、ぶつけられて頷けるほど図太くない。怪訝に見上げると、ニカッといたずらっ子みたいに笑われた。 「後ろばっか見てるから、尻餅着くんだよ。前見てみろよ。世界は変わるから。」 「前は…眩しすぎる…。」 「お前は、ソンビか吸血鬼なのか?夏陽なんて、スッゲェ情熱的な名前貰っといて、闇を好むなよ。」 「だって…。知らない人や知らない場所は、怖いんだもん。」 「夏陽、俺は知らない人じゃないのか?」 「あ…。」 したり顔で、言われて顔が紅くなるのが解った。 「何百面相してんだよ。ウケる。」 「若者で遊ぶ方が、どうかしてる。」 「世間一般では、俺も若者なの。」 私の髪をグシャグシャと撫でると、真面目な顔で言った。 「傷つくかもしれないけど…。教えてやる。夏陽、まだ女じゃないよ。」 「女だよ?」 「生物学的な事じゃないよ。夏陽はまだ女の子なんだ。汚れたって思ってんだろうけど…。」 「どろどろに汚れてるよ…あたし。」 「気持ちがな。でも体は案外治ってるもんなんだ。簡単には、女にならない。」
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