産巣日

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 ……男は、力に飲まれた。  身体は乗っ取られ、そして……塵一つ残さずに消えた。  男が消滅した後、殺されたはずの産巣日神が起き上がる。  胸に刺さる剣を抜いて、 「だから、やめたほうがいいと言ったのに……」  呟く。  もう傷は塞がっていた。 「……ヒトでは、この力を受け入れられないから……」  もう存在しない、憐れな男に向けて、産巣日神は言う。 「……止められなくて、すいません……」  本当に申し訳なさそうに、彼女は言った。  悲しみに顔を歪めて涙を流す。  その様は神というよりも、一人の人間に見えて……  そんな自分の姿なんて気にもせず、彼女はただただ泣き続けた。              END.
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